「鏡の中に潜む、誰にも言えない本当の私」

【投稿者:ゆき(仮名)/20代・男性・静岡県】

過去のことを思い返すと、あの瞬間のことは今でも胸が苦しくなる。誰にも話したことのない、俺の本当の姿がある。それは、大切な人さえも失うきっかけになった、自分自身への嫌悪感と無力感からくるものだ。

あれは、まだ大学生の頃だった。家族も友人も俺を信じてくれていたし、俺自身も将来にはそれなりの希望を持っていた。だが、ある時から自分の中で何かが狂い始めた。それは鏡を見るたびに襲ってくる、自分が自分であるこ
[member]とへの違和感。毎日顔を合わせるはずの鏡の中の自分が、まるで他人であるかのように感じ、そのイメージが次第に心を蝕んでいった。

ある朝、自分がどれだけ醜い存在かを強く感じてしまった。外見の話ではなく、内面からにじみ出る嫌悪感だ。自己否定の感情が止まらず、ついには友人との約束にも行けなくなった。一人部屋にこもり、ただ時間が過ぎ去るのを待つことしかできなかった。

大学には行かなくなり、授業からも逃げ続けた結果、つり合わなかった成績がさらに悪化。今思えばあの時、助けを求める勇気さえあれば、何か変わったのかもしれない。しかしその時の俺には、その「勇気」がどうしても見つからなかった。素直に誰かに「辛い」と言えるほど、器用な人間でもなかったし、家族や友人に迷惑をかけられないと一人で抱え込んでいた。

一方で、無理やりな笑顔を装って周囲には何事もないように見せ続けていた。まるで演技をしているような毎日は、心をさらに疲弊させた。偽りの自分を演じ続けることは苦痛だった。だが、本当の自分を晒せば、きっと誰も俺を受け入れてくれなくなる、そう考えると結局虚勢を張り続けるしかなかった。

結果として、何もかもが限界に達し、ついには全てを投げ出した。学校、友人、家族との関係…全て。それらを断ち切ることで、楽になると思っていたのだ。その選択がもたらす結果もわかっていた。それでも、心の痛みを少しでも和らげる手段として、自分に残された道がそれしかないように感じた。

本当の俺は一体何者なのか。その答えが得られずに、今でも鏡を見るたびに胸が締めつけられる。この無力感と虚しさはずっと消え去ることはないのかもしれない。過去に戻れるのなら、何かを変えたいという思いはある。しかしそれが叶わない以上、俺はただこの現実を嘆くほかない。

あの日から、大事な人を巻き込むことでさらに彼らを傷つけたのだと思う。それが何よりも辛い。そんな自分を許せない自分自身がそこにいる。誰かに「それでいいんだ」と言われても、どこかでそれを拒む弱い自分がいる。そして今日もまた、鏡の中に自分を見つめ、ただ存在することすら否定したくなるのだ。どこにも逃げ場のない、この心の檻から抜け出す術が見つからない。現状をただ悲しむことしかできない自分に、唯一できることは、それでも生き続けることなのだ。[/member]

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