【投稿者:しずる(仮名)/20代・女性・群馬県】
私の家族は、表面的にはごく普通の家庭でした。夕食時にはいつも和やかに談笑し、週末には家族全員で買い物に出かけることもありました。でも、あの日までは誰も、家の中にこんな大きな秘密が隠されているなんて思いもしなかったのです。
ある日、私は昔から使っていなかったタンスの引き出しを開けることになりました。理由は単純で、新しい服をしまうスペースを作りたかったからです。そのタンスは私の祖母のもので、彼女が亡
[member]くなって以来ほとんど手をつけないでいました。
引き出しを開けると、空気の古びた匂いに混ざって少しの驚きがありました。そこにあったのは、私が知らない書類の束や封筒でした。それを取り出して机に広げると、思わぬ事実が次々と私の目に飛び込んできました。
その中には、祖母宛の手紙が何通もありました。それらは全て別の女性から送られてきたもので、内容は祖母とその女性が長い間秘密にしていた関係についてのものでした。その女性は祖母の、恋人だったのです。祖母が結婚生活を送る中で、このような関係を続けていたなんて思いもよらなかった私は、ただただ愕然としました。
さらに、その手紙には私の父についても触れられており、祖父と血が繋がっていなかったことが書かれていました。私は衝撃で体が動かなくなりそうでした。幼いころから家族だと思っていた人たちとの関係は、見た目ほど単純なものではなかったのです。
すぐにでも家族に知らせたかったけれど、この秘密には強い重みがあって、どうしても口に出すことができませんでした。ただ、そんな思いを胸の中に抱え込むことで、日常が徐々に耐え難いものになっていきました。
心の中に秘めた叫びは次第に強くなります。「どうしてこんなに大切なことを、誰も教えてくれなかったの?」「家族の愛は一体何だったの?」声に出せずにいる疑問は、積もるばかりでした。人は皆、幸せな家族が最も安全であるべきだと思っています。でも私は、その安全だと思っていた場所が幻想に過ぎなかったことを知ってしまったのです。
毎晩眠れない夜を過ごしながら、布団の中でただ涙がこぼれるのを感じます。一人でこの重みを抱えていることは、一日の終わりにとても孤独です。しかし、誰にも頼るわけにはいかないのです。家族が再びばらばらになってしまうことを恐れている自分がいるから。
その後も、私はこの秘密を誰にも話せないままでいます。それが家族の平穏を守るためだと思う半面、自分がこの重みを永遠に背負って生きていかなければならないと思うと、やるせない気持ちでいっぱいになります。毎日顔を合わせる家族に笑いかけることはできますが、心の奥底では決して拭いきれない悲しみがあるのです。
時間は流れても、簡単に癒されることはありません。家庭がチョコレートで作られた城のように美しく見えても、その中には隠しきれないひび割れが存在していたことを知った今、ただただ現状を悲しむしかありません。息苦しくて、逃げ場のないこの日々の中で、自分だけが知ってしまった秘密の重さにただ耐えるしかないのです。私の心は、今もなお、その引き出しの中に閉じ込められたままです。[/member]