借金地獄の果てに見えた幻の幸福

【投稿者:ユキテル(仮名)/30代・女性・千葉県】

私は幼い頃から、あまり何事にも執着しない性格で、欲しいものがあればその時だけで、すぐに忘れてしまうような子供だった。それが大人になっても変わることはなかった。お金についても同じで、働いて得た給料は全てその月のうちに使い果たすような暮らしをしていた。貯金の概念なんてなかった。自分の好きなものに囲まれているだけで十分幸せだと思い込んでいた。

しかし、30歳を過ぎたころから、友人たちが結婚したり、子ど
[member]もを持ったりと、人生における次のステージへと移っていくのを見て、ふと焦りを感じ始めた。私も何かを変えなければいけないと思い、無理をしてでも自分を取り繕いたくなった。でも、収入を増やす手段もなく、ただ毎日が過ぎていく中で、カードローンの広告が目に留まったのが運の尽きだった。

最初は少しだけ借りるつもりだった。けど、一度その甘い罠にかかると返済の日々が待っているだけで、借金は雪だるま式に膨らんでいった。必要なものだけを買うつもりが、気づけば不必要なものまで手に入れ、部屋は物であふれ返っていた。でも所有することで一時的には満たされる気がして、その空虚感を埋めるために余計にお金を使ってしまう悪循環にハマっていた。

日に日に追い詰められていく心。毎日が地獄だった。返済のためにさらに借金を重ねるばかりで、職場の同僚が自分の財布を覗きこむたびに、心が張り裂けそうな恥ずかしさを覚えていた。でも、人には頼れない。誰にも言えず、相談できないまま、孤独の中で一人きり涙を流す日々。

そのうち、心の中でこの生活から逃げたいと思うようになるけれど、どうすることもできない。ただ、お金のことで頭がいっぱいで、夜も眠れない。ただただ疲弊していく自分がそこにいた。いっそのこと、何もかも置いてこの世界から消えてしまいたいと思ったこともあった。しかし、その一方で、ほんの少しだけでも幸福を感じる瞬間があると、まだ生き続けたいとも思ってしまう自分がいて、その葛藤が私をさらに苦しめた。

周りからは楽しそうに見えるようで、それがまた辛かった。誰も私の心の中までは見えないし分からない。表面上の笑顔の裏に隠された涙の理由を誰も知ることはない。そうして誰からも理解されないまま、孤独と戦いながら、何とか今日も生き延びてきた。

現状は、返済の目途も立たず、希望が見えない。ただ、繰り返す反省の中で、幻の幸福を求め続けた結果がこの状況だと思うと、悲しくなるばかりだ。もう何年も自分の楽しみを追い求めることもできず、ただ日々をやり過ごすしかなく、未来に何のハーベストも見つからないまま時間だけが過ぎ去っていく。何かを犠牲にしてでも、この状態から抜け出したいと願いながらも、叶うことのない幻想にすがりつく日々が続いている。いつか、本当に自分自身が与えられる面影のない幸福を手にできる日が来るのか。それさえもわからないまま、今日もただ意味もなく時間が流れていく。[/member]

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次