「働きすぎの果てに:心と体が壊れたあの日」

【投稿者:ソラ(仮名)/30代・女性・香川県】

働き始めた頃、私は「頑張れば報われる」が信条でした。学生時代は成績も良く、「何事も努力次第」と信じて疑わなかったのです。しかし、就職してから、まさにその信念を打ち砕かれる出来事が起こりました。最初はやりがいに満ちていた仕事も、次第に私を追い詰めていきました。

会社では、私の部署の人手が常に不足していて、業務量は日々増していくだけ。管理職の方も異動や病欠が重なり、指示系統が混乱していました。そのた
[member]め、私たち若手にかかる負担はとても大きかったです。残業が続く日々。時には深夜までオフィスの蛍光灯がついていることも珍しくありませんでした。

「どうにかなる」と、最初は鷹揚に構えていました。根気だけには自信があったし、周りの同僚も同じように奮闘している姿を見て、自分も頑張らなければと思っていました。しかし、そうした日々が数か月も続くと、徐々に心に影が差し始めたのを感じました。

いつからか、夢の中でも仕事をしている。そして、朝起きると体が鉛のように重く、布団から起き上がるのに一苦労。職場に着くと、机に座っただけで全身の力が抜けていくような虚無感に襲われました。このままでいいのか、それとも辞めたほうがいいのか、答えを出せずに悶々とする毎日でした。周りの人に相談しようにも、皆疲れ果てていて、自分だけが特別に辛いわけではないと無理やり気持ちを押し殺しました。

涙もろくなった自分に気づいたのは、その頃です。特に理由もないのに、突然涙が出るようになりました。通勤電車の中や、仕事中のちょっとした合間にも。泣くのは良くないと頭ではわかっているのに、感情が言うことを聞いてくれません。

そして「あの日」がやってきました。仕事を終え、終電を逃した私はタクシーで帰宅しました。家に着いても心のざわめきが止まらず、朝が来ることが怖かったんです。ベッドに横たわっていると、身体の中から何かが壊れたような感覚がありました。どうしようもなく辛くて、居ても立ってもいられず布団をぎゅっと握りました。でも、その苦しさを言語化できるほどの力も温存していなくて、ただただ涙がこぼれました。

そのまま時間が止まってしまえばいいのに、とさえ思いました。目の前にあるのは努力しても埋められないような深い虚無。努力の結果、報われるどころか心も体も壊れた私。どうしてあの時、自分を守る選択をできなかったのか、大きな後悔が胸を締め付けます。そして、自分を許すこともできず、こころの中で自分を責め続けました。

その後、少しずつ体調を見つめ直す時間を取り、しばらく療養をしましたが、完全に元に戻ることはありませんでした。「頑張れば大丈夫」と、ひた向きに前を見続けたあの頃の自分は、もういない。周囲の理解もあり、今は負担を減らして働いていますが、ふとした瞬間に当時の自分を思い出してしまうのです。

将来が明るく見えないわけではないですが、心に残る傷は消えることはないと感じています。毎日のように自分を責め立てる記憶と向き合わなければならない現実は、決して晴れることのない曇り空のように私の心を支配しています。働くことが怖い、でも生活のためには働かざるを得ない。そんな綱渡りのような毎日を、ただただ過ごし続けるしかないのかもしれません。[/member]

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