【投稿者:ひなた(仮名)/30代・男性・広島県】
心の奥底に沈み込んだ重い記憶。それは、金によって愛と信頼が壊された、一生消えない傷として残っている。俺の人生の幸福な日々は、ほんの少しの欲望と油断から崩れ去った。
最初は小さなきっかけだった。家族もあり、仕事も順調で、無駄な浪費をすることはなく、慎ましくも安定した生活を送っていた。しかし、ある日、友人から刺激的な投資話を耳にした。欲にかられた俺は、彼の話に乗っかってしまった。まさか、それが破滅の
[member]序章だとは思いもせずに。
最初は多少の利益が出て、上手くいっているように見えた。しかし、求め始めると止まらなかった。欲望に突き動かされ、次第に手を広げ、遂には返せるあてもない額を借り入れてしまった。初めは抵抗があった。家族には言えなかったが、本当のところ、自分でも恐怖を感じていた。しかし、自分を信じ、夢を見続けてしまった。
次の瞬が悪夢だった。市場が急転し、投資は全て損失に変わった。残ったのは巨額の借金。額面にしたときの絶望感は、身体を蝕む毒のようだった。当たり前だった日常が崩れ、恐怖と後悔だけが迫る毎日。家族に真実を告げることもできず、嘘をつき続けて、さらに借金を重ねていった。本当は助けを求めたかったが、彼らを失望させることが怖かった。信頼が崩れることはわかりきっていた。
時間が経つにつれ、日常の全てが嘘で埋め尽くされていった。妻の優しさも子供たちの無垢な笑顔も、俺には重荷に感じられた。言葉を発するたびに心が痛み、この暮らしが永遠には続かないことも、分かりすぎるくらい分かっていた。そして、その時はやってきた。心を殺して日々を過ごしていた頃、ついに信用は限界を迎えた。
全てを話した時、家族が見せた絶望の表情を、俺は一生忘れることができない。愛を持って築き上げてきた家族との絆は崩れ去った。妻は言葉を失い、子供達の目には戸惑いと恐怖が浮かんでいた。彼らの期待を裏切った事実は、俺の心を幾度も切り裂き、立ち直る術を奪った。
今、俺は当時の夢を失い、さらには愛する者たちの心からも遠ざかった。借金の返済を続けながら手に入るのは破れた信頼の重みに圧し潰される日々だけだ。借金自体よりも、失った愛と信頼の方が遥かに辛い。家族はまだそばにいてくれるものの、その目には微かな不安が今も残っている。
結局、軽い好奇心と愚かさが招いた結末。心の底から叫んでも、もう誰にも届かない後悔と孤独。家族は懸命に愛を示そうとしてくれるが、俺自身が自分を赦さない。自分を信じられずに、生き続けることの残酷さを日々噛み締める。これは俺の「借金地獄」であり、そこから抜け出せる道は、今もって見つからない。
後悔の念だけが尽きることなく、俺の心には渦巻いている。これが過去一番悲しくて悲惨な体験。それを振り返れば振り返るほど、足元から光は薄れていく。どこにも安息を見出せず、ただただ日々の重さに耐えるしかない。これは、俺が背負うことになった終わらない罠。[/member]