【投稿者:ミズホ(仮名)/40代・女性・香川県】
私は去年、健康診断で予期しなかった結果を手にしました。毎年、決まり事のように行っている健康診断。今年も特に気にすることなく臨んでいました。結果が送られてきたのは、確か蒸し暑い夏の午後でした。サラサラと開封して内容を確認していると、目を疑いたくなるような言葉が目に飛び込んできました。「要精密検査」とだけ書かれたその用紙を見たとき、私は胸が締め付けられるような恐怖を覚えました。
その日は一日中、何を
[member]するにも心ここにあらず、でした。振り払っても振り払っても頭をよぎるのは、最悪のシナリオばかり。そして、何より一番恐ろしかったのは、「静かに私の体の中で何かが悪化しているのではないか」という感覚。外見だけでなく内面でも健康には注意を払ってきたつもりでした。でも、体の内側で静かに進行しているサインには気づけなかったのです。
精密検査の日がやってきても、自分の体が信号を発していることをまだどこか人ごとのように感じていました。しかし、診察室で医師からの説明を聞いているうちに、現実を否応なしに突きつけられることになりました。私の体は、思っていた以上に深刻な状態だったのです。「手術が必要です」その言葉を聞いた瞬間、まるで世界が一度止まったかのようでした。どうやってここまで来てしまったのか。その思いばかりが渦巻いて、冷や汗が止まりませんでした。
長い病院の帰り道、私は涙を堪えることができませんでした。他人の不幸を同情することは容易でも、自分の不幸と向き合う心の準備ができている人は少ないと思います。私もその一人でした。そして、病院の待合室で手術の説明を待っている間、次々と私の前を通り過ぎていく他の患者さんたちを見て、「他の誰でもない自分自身がこの場にいる」という他人事ではない現実が、否応なしに迫ってきました。
誰にでも愛する人や支えてくれる人がいて、もしも万が一のことがあれば彼らを巻き込んでしまう。そんな思いが頭を離れませんでした。私が抱えるこの静かな叫びに、自分だけでなく多くの大切な人達を巻き込んでしまうかもしれないという恐怖。そして、今の自分に何ができるのか分からない無力感。力を振り絞ってもどうしようもない現実の前に一歩たりとも進むことができない、このもどかしさ。その日は、帰宅してからも泣き疲れてしまい、夜にはぐったりと眠りに落ちました。
数週間後、手術は無事に終わりました。私は命をつなげることができました。しかし、その静かな叫びは、今でも私の心のどこかで囁き続けています。再び同じことが起こるかもしれない不安や、体が教えてくれる小さな変化を見逃さないようにしなければというプレッシャー。その不安をひとつ抱えて日々を過ごすことの辛さを、誰もが共感してくれるとは限りません。それでも、私は毎日少しだけでも心穏やかに過ごせることを願い、今日もまた一日を始めるのです。この先、何が待っているのか分からない。それでも、生きていくしかない。私の心には、今もなお体が発している静かで力強い叫びが響いています。[/member]