【投稿者:サクラ(仮名)/50代・女性・秋田県】
私は幼い頃から、どこか家族の中で浮いているような感覚を抱いていました。その理由が何なのかは分からず、ただ漠然とした違和感としてあったのです。母は優しく、いつも私を気遣ってくれる人で、父は寡黙でしたが、必要な時にはしっかりと助けてくれる頼もしい存在でした。兄とはそう頻繁に話をすることはなかったけれど、互いに気を使い過ぎないちょうど良い関係で、表面的には何も問題はありませんでした。
しかし、ある晩、
[member]家族全員が集まったときに、それは突然明らかになったのです。母の顔にはこわばった表情が浮かび、普段は穏やかな声が震えていました。「話しておかなければならないことがあるの」と、母の口から出た言葉は予想もしなかったものでした。生まれて初めて、私は自分の人生が根底から覆されるような衝撃を受けました。
私が家族だと思っていた人たち、私が当然のことだと思っていたものの全てが、実は真実ではなかったのです。右耳を貫くような叫びたい気持ちと、ただただその場から走り去りたいという衝動が胸に湧き上がりました。私の母が実の母ではない、そして父の血も引いていない。私は家族に拾われて育てられた子供だと告げられました。
それを受け入れられたでしょうか?いいえ、そんな簡単なことではありません。ただでさえ不安定な思春期に、真実として信じ込んできたものがすべて幻であると知らされたときの絶望感。まるで暗闇の中に投げ出されたような孤独な感覚が私を襲いました。
すぐには信じることができませんでしたし、反発する力すらも湧きませんでした。その知らせを受けた瞬間から、私の心はまるで氷のように冷たくなり、目の前の世界がゆがんでいくのが分かりました。部屋を飛び出し、戸惑いの中で辿り着いた公園のベンチに座り込みました。そこは私がいつも一人で物思いにふける場所で、今日はその場を求めるしかありませんでした。
穏やかに揺れる木の葉の音や風の匂いでさえ、その時の私には何の癒しにもなりません。心の中で叫び壊れそうになっている自分自身を、必死で抱きしめながら耐えていました。何が真実で、自分が本当は何者なのか。考えても答えは見つからず、ただ涙が零れるばかりでした。
家に戻ることができなかったその晩、自分がその家族との絆を持っていた過去の時間に意味があったのかどうかさえ分からなくなり、朝まで泣き続けました。迎えに来た母の顔を見た時、言いたいことが喉の奥で詰まって、何も言えませんでした。感謝したい気持ちと、許しがたい怒りとが交錯し、どうすればいいのか、どうすればこの気持ちを消化できるのか。一生の課題として心に残りました。
今でも家族のことを思い返す度に、あの晩の静けさと母の震える声とが頭に響き渡ります。そして未だにその悲しみは消えずに、私の中に色濃く残っています。彼らが私に注いでくれた愛にもかかわらず、自分のアイデンティティを失った悲しみ、そして孤立した感覚から逃れることはできませんもの。私はずっとこうして、心の中で叫び続けるしかないのです。[/member]