【投稿者:ひかり(仮名)/50代・男性・千葉県】
僕の人生が大きく揺れ動いたのは、つい数年前のことだ。家族と過ごしていた平穏な日常が、突然、音を立てて崩れていった。全てはあまりにも幼稚で無謀な判断から始まった。
大学を卒業した後、特にやりたいこともないままなんとなく入った中小企業で数年間働いていた。仕事は単調で毎日が退屈だった。そんな時に出会ったのが、友人が勧めてきた投資の話だった。彼はその時、株やFXで大きく稼いでいると言っていて、僕も何か大
[member]きく変わるきっかけが欲しかったのだろう。最初は少額で始めて、うまくいけば大きな利益につながる、夢を見させてくれるような甘い言葉に誘われて、手を出してしまった。
最初の数ヶ月、うまくいった。運よく利益が出たことで、さらに投資額を増やした。その時の僕には、まるでお金を生み出す魔法を手に入れたかのように感じられた。しかし、そんな幻想はあっという間に崩れ去った。市場の急変で全財産に等しいお金を失った。その瞬間、後悔と絶望感が全身を打ちのめした。この一つの判断がどれほど無謀であったかを痛感したが、時すでに遅し。
家族にはもちろん内緒だった。実は借金を背負ってしまったのだ。日々膨らんでいく利子に頭が回らず、手が回らず、僕はさらに悪い方向に走ってしまった。消費者金融にも手を出し、いつの間にか借金地獄のど真ん中に足を踏み入れていた。常に頭には不安が付きまとい、仕事でもミスが増えていった。追い詰められた精神状態の中でついに、会社も解雇された。
家族には失業のことしか話せず、それでも毎日仕事に出かけるふりをして、実際は何もすることができずに町をさまよった。次第に家族との会話も減り、突然大きな衝突が起きた。それはある夜のこと。なぜ僕がそんなに落ち込んでいるのか、不安がる妻に対してとうとう隠し続けてきたことを打ち明けてしまったのだ。妻の涙と怒りは僕の想像を超えていて、彼女は子どもを連れて実家に帰ってしまった。
それから、どれだけ謝っても、何をしても信頼を取り戻すことはできなかった。家族を失ったことで、僕は全てを投げ出したい気持ちにもなった。けれども、一方で自分の尻拭いをしなければならないという思いが勝った。働いても、働いても得られるのは負債の返済だけ。しかし、それが唯一生きる意義に思えた。
抜け出したいと心から願った。でも毎日同じように続く絶望的な状況に、心だけでなく身体もどんどん蝕まれていった。それでも、やるしかなかった。返せる保証はないけど、それでも返さないと前に進めない。これが自分の道なのだと、無理やり自らを納得させていた。
今でも、家族の姿を思い浮かべると胸が痛くなる。何よりも大切な人たちを自分の愚かな選択で傷つけた。どんなに謝っても、もう元には戻せない。本当にやり直せるなら、あの日の決断を違うものにしたいと願うが、それもただの夢に過ぎない。
これが僕の現実だ。借金という影から逃れられず、家族も自分も守れない男の末路なのかもしれない。今はただ、自分の過ちを認め、これ以上誰も傷つけることのないよう、静かに生きる道を探している。そんな状況でも、少しの希望が見つけられる日が来ることを信じて、今日もまた歩みを進めていく。[/member]