【投稿者:アオハル(仮名)/50代・男性・茨城県】
私が人生の中で最も痛切に感じた裏切りは、自分の体内からのものだった。長年、健康には自信があった。運動も欠かさず続けていて、食事にも気を使っていた。そんな自分に降りかかる病の影響を、まさかこれほどまでに恐ろしいものだとは思わなかった。
それはある日、突然にやってきた。胸の痛みと共にあり得ないほどの疲労感が襲ってきた。日に日に体が重くなり、些細な動きも億劫になっていった。「最近忙しかったし、疲れが溜
[member]まっているんだろう」くらいに考えていた自分の楽観的な見通しは、数週間後には現実の厳しさと向き合わせられることになった。
病院で診察を受けたとき、医師の口から語られる診断結果に、私は耳を疑った。名前も知らないような病気、その進行の速さを考えると一刻も猶予がない、と言われた瞬間の衝撃は、言葉では表現しがたい。自分が思っていた「健康な体」は、実は静かに蝕まれていたのだ。自分の体が、自分を裏切っていたなんて。
それから始まる治療の日々は、思っていた以上に厳しいものとなった。副作用に苦しみ、何度も倒れそうになりながらも、必死に前を向こうとした。だが、治療が進むにつれて、自分の中にある恐怖と不安の塊が次第に大きくなっていくのを感じていた。「果たして、この先に待っているものはどんな未来なんだろう」という疑問が頭から離れなくなった。
家族や友人たちには支えられ、励まされたけれど、どうしても完全に踏み切れない自分がいた。「逃れられない」と諦めかけたことも何度もあった。「どうして自分だけがこんなに苦しまなければならないのか」という思いが何度も渦巻いた。
悲しいことに、治療の効果は思わしくなく、病状は徐々に悪化している。やれることは全てやった。だけど、体は更に弱っていくばかりだ。そんなとき、自分が一人孤独だという現実が嫌でも突きつけられる。いくら周りが応援してくれても、実際にこの体の中の闘いを味わっているのは自分だけ。言葉にすると余りに虚しく響くかもしれないが、これは事実なのだ。
今、過去を振り返ると、「どうしてもっと早く気づけなかったんだ」と自身を責めることが幾度もある。だが、過去は変えられない。この裏切りを理解し、受け入れざるを得ない未来が待っている。それだけが、今の自分に確実に言えることだ。
そして、ただただ待ち受けるものに対して、心を押し潰されるような、不確かで悲しい日々を繰り返し過ごさなければならない状況。そんな時、どんな力強い言葉も自分を完全に癒してはくれない。孤独感に押し潰されそうでありながら、仕方のない現実が目の前に立ちはだかる。ただただ悲しさと向き合わざるを得ない現状を飲み込むしかないのだ。[/member]