【投稿者:ユキノ(仮名)/30代・男性・京都府】
僕の職場環境は一見、理想的なものだった。明るいオフィス、笑顔で挨拶を交わす同僚たち。外から見れば、誰もがここで働きたいと思うような場所だった。しかし、その笑顔の裏には、誰にも知られたくない職場の闇が潜んでいた。
僕が入社したのは大手の商社で、周囲には優秀な人材が揃っていた。もちろん、僕は嬉しかったし、ここで自分の能力を存分に発揮しようと心に誓った。しかし、日が経つにつれ、何かがおかしいと気づき始
[member]めた。同僚たちの笑顔はすべて作り物で、毎日が何とか耐えるための作業にすぎないことに気づかされた。
上司は優秀な営業成績を求め、そのためならどんな犠牲も厭わなかった。ミーティングでは失敗を突かれ、何度も恥をかかされた。一方的に怒鳴られたり、無視されたりすることもあった。最初は「これも成長のためだ」と自分に言い聞かせてきた。でも、次第に疲弊していく心には、自分でもどうしようもできなくなっていった。
誰にも心の内を話せず、助けを求めることもできなかった。周りの同僚が同じように苦しんでいることは分かっていたが、誰一人としてその話題には触れようとしなかった。みんな自分だけに必死で、「お互い助け合おう」なんて綺麗事は通用しなかった。
毎朝目が覚めるたびに、また始まるのかと絶望のような気持ちになる。夜はなかなか眠れず、布団の中で明日もまた頑張らなくてはいけないという思いに押しつぶされそうだった。仕事を辞めたいと思う気持ちは山々だったが、次の仕事が見つかる保証もない。ましてや、一度辞めたらキャリアに傷がつくという風潮もあったため、身動きがとれなかった。
職場から逃げ出したいけれど、逃げ場がない。自分自身が心を閉ざしてしまったことで、新しい人間関係を築く力も失ってしまった。家に帰ると、ただぼんやりとテレビを見て時間を潰すだけの毎日。友人の誘いも断り続け、気が付けば誰とも話さない日が増えていった。
これが僕の経験した職場の闇だ。笑顔の裏側にある現実では、誰も助けてはくれない。そして僕は、破綻寸前の心を抱えて日々を過ごしている。いずれ限界が来るだろうけれど、その時まで僕はこの見えない鎖に縛られたままだ。自分が選び取る道が何であれ、それに責任を持たなければならない。家具の隙間から差し込む日差しがただ虚しく、部屋は静寂に包まれている。明日もまた、笑顔を作らなくちゃいけない日がやって来ることを思うと、涙が零れそうになる。[/member]