【投稿者:ミズキ(仮名)/50代・女性・千葉県】
それは突然の出来事でした。私たち家族は、普通の生活を送っていると思っていました。日々の中のささやかな幸せ、小さなトラブル、どこにでもある家庭のちょっとした問題、それが当たり前だと思っていました。夫とはよくいろんなことを話していたから、隠し事なんてないと思っていたんです。でも、真実は違いました。
ある日、夫からひと言、「借金がある」と告げられました。驚きというより、その言葉が何を意味するのかすぐに
[member]は理解できませんでした。ただ、その場が凍り付き、周りのすべてが色を失った瞬間を覚えています。彼は、ビジネスの失敗や、ギャンブルに手を出したこと、自分でもどうすることもできないくらいの額に膨れ上がっていた、と涙を浮かべながら話してくれました。
その瞬間、私たちの生活は一変しました。借金の存在が明らかになると、家族の平穏はたちまち崩れ去りました。返済のため、子どもたちの将来やこれまでの積み重ねなど、すべてが危うく感じられるようになりました。どれだけ一生懸命働いても、一生終わらないような苦しみに埋もれた日々が始まりました。
毎朝目を覚ますたびに、借金を考えざるを得ませんでした。どんなに仕事に打ち込んでも、そこにいるのは変わらぬ現実。夜になっても眠れない日々が続きました。子どもたちにはまだ、こんなことを知られたくなかった。だからこそ、明るく元気なお母さんを演じることが、自分自身を蝕んでいるようで辛かったです。
夫の失った信頼も、取り戻せるものではないと感じてしまいました。彼もまた、心を擦り減らし、無力感に苦しむ日々を送るようになったのを見ていましたが、私はどうすることもできず、ただ彼を信じるしかなかったんです。二人でこの現実から逃れる道を探し、何とか日々を乗り越えていこうとしました。しかし、何をしても無力さだけが募るのです。
家族が崩れていく感覚を受け入れるのは辛すぎました。将来に思い描いていた夢や希望が、どんどん遠のいていくのがわかりました。気持ちの奥深くに潜んでいた恐怖が、次第に日常を侵食していきました。心の叫びをどこに向ければいいのかわからない、誰か助けてほしいと願っても、その声が届く場所がないのです。
以前のような幸せな家庭に戻りたいという希望は、次第に薄れていきました。借金を抱え、それが原因で家族が壊れかけている中で、当たり前の日々がいかに貴重なものだったのかを痛感しています。あのころに戻りたい、借金がなかったら、そんな「もしも」に縋る毎日は、本当に苦しいばかりです。
結局、何も変えることができないまま、私たちは今日もこの現実に立ち向かわなければなりません。心の中で叫んでも、自己嫌悪と無力感が消えることはありません。これが現在の私たちの現状であり、逃げることもできないただの日常です。優しかった家庭時間は今や、かつての美しい思い出としてだけ存在しています。そして、これからも生まれるであろう日々の恐怖に立ち向かい続けなければならないことが、何より悲しくて仕方ありません。[/member]