「終わらない残業、心の休まらない職場──生きるために働くはずが、働くために生きる日々」

【投稿者:ゆきりん(仮名)/20代・男性・山口県】

あの日々を思い返すと、まるで一つの長い悪夢のようだった。仕事を始めたばかりのころ、自分は意欲に満ち溢れていた。新しい環境で心機一転、自分を試すつもりだった。しかし、その理想はすぐに打ち砕かれてしまった。朝は誰よりも早く出社し、夜は誰よりも遅くまで職場に残った。その間に与えられる業務の量は、どう考えても人一人でこなせるものではなかった。それでも「頑張れ、頑張れば道は開ける」と自分に言い聞かせていた。
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だけれども、そんな努力が認められることはなかった。上司や先輩たちは「まだまだ努力が足りない」とか「若いんだからもっと働け」と言い続けた。心の中では反発したかった。けれど、会社の中ではそれが当たり前の文化だったため、反論する術がなかった。

残業は日に日に増えていった。日を追うごとに体は悲鳴を上げ始めていた。目の下のクマは常に目立ち、体重は徐々に減っていった。家に帰っても心は休まらない。時にはベッドの上で、「明日もまた朝が来る」と考えるだけで眠れなくなることもあった。フラストレーションは溜まる一方なのに、大声で叫ぶことさえ許されない。

仕事以外の生活はほとんど存在しなかった。友人と過ごす時間や趣味を楽しむこともなくなっていた。一時は大切にしていた趣味の道具や本も、次第に埃をかぶるようになった。気づけば、自分の人生で重要だったはずのものが次々と無くなっていく。それでも、仕事を辞める勇気はなかった。家族や社会に顔向けできないという気持ちが強かったからだ。

ある日、ふと気づいたことがあった。「自分は生きるために働いているのか、働くために生きているのか」。その答えが後者だと気づいた瞬間、心にぽっかりと穴が開いたような気がした。こんなにも自身の人生が空虚だったことに気づいてしまったのだ。会社のために尽くし、自分のためには何も残っていない。この現実が非常に重くのしかかってきた。

体調はどんどん悪化し、遂に病院に行くことになった。診断結果は、ストレスによる体調不良。医師からは「このままでは、本当に大変なことになるかもしれませんよ」と言われた。その言葉は、どこか遠い世界の出来事のように感じた。今の自分には、そんなことさえ実感を持って受け止められない。

最後に、これを読んでいるあなたに伝えたい。どうか自分を犠牲にしすぎないでほしい。自分の人生や健康を守ることは、誰にとっても大切なことだ。しかし、仕事の忙しさに追われ、一度踏み外した脚はなかなか元に戻らない。それ故に、自分自身を大切にすることをどうか忘れないでいてほしい。

今、目の前に広がるのは決して明るい未来ではない。だけど、それもまた自分が選んでしまった道だという事実からは逃げられない。現状を嘆きながら、それでも日々を淡々と過ごしていくしかない。終わりなき残業という闇の中で、少しでも光が差し込む日を待ちながら。[/member]

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