「愛の錯覚が暴いた心の闇:裏切りの先に見えた本当の自分」

【投稿者:あおい(仮名)/40代・男性・富山県】

すべてを失ったあの日から、もう何年も経った。愛するとはどういうことなのか、本当にわかっていなかった若かりし頃の、自らの未熟さを思い知らされた。彼女との関係は、まさに愛の錯覚が生んだ悲劇だった。

彼女との出会いはまさに運命的だったと感じた。何もかもが新鮮で、一緒にいることが、まるで夢の中を漂っているようだった。しかし、その夢がやがて恐ろしい悪夢へと変わる日が訪れることを、当時の俺はまったく予想して
[member]いなかった。

彼女との日々は順調に見えた。しかし次第に、小さな違和感を覚えることが多くなった。彼女の無関心、俺のささいな言葉を受け流す態度、そして何より、どこか遠くを見つめるような目。それでも俺はそれを見ないふりをして、二人の関係を維持しようとした。愛は盲目というが、まさにその通りだ。

心の奥で、いつかこの関係に光が射すと思っていたのかもしれない。しかし、ある日突然、彼女の本心が暴かれる瞬間が訪れた。正直、ここの部分が一番辛かった。彼女の口から出た言葉は、まるで毒矢のように胸に深く突き刺さった。自分の他に、すでに心を通わせる相手がいたこと。俺ではなく、他の人と未来を見据えていたことを知った時、全身が麻痺したように動かなかった。

「ごめんね、でも最初からわかっていたはずよ。」と彼女は言った。到底、そんなことはないと言いたかった。俺は彼女を愛していたし、彼女も俺を愛してくれていると、信じ込んでいたのだから。その愛は一体何だったのか。俺が抱いていたのは紛れもない錯覚で、その完璧に見える妄想が砕け散る瞬間は、生きた心地がしなかった。

それからの日々はしばらく地獄だった。目を閉じても開けても、彼女の裏切りが頭から離れない。仕事に集中することもできず、友人たちの声も遠くにしか聞こえなかった。心の中は、まるで何も存在しない空っぽの空間のようになっていた。

人は傷つくことで、強くなるというが、俺の場合は違った。傷つくことが、逆に心をボロボロにした。俺は自分の弱さを痛感した。この出来事を通じて学んだことは、愛することの難しさ、そして自分を失うことの辛さだった。自分自身の存在価値すら見失い、どんなに努力しても正気を保てない虚無感が全身を覆っていた。

日々の中で、彼女の笑顔や仕草が頭から離れることはない。辛いと感じながらも、彼女が笑顔を浮かべて過ごしているのかもしれないと思うと、さらに心が重くなる。しかし、それと同時に、彼女が本当の自分を見つけたのだと思うと、少なくとも彼女にとっては良い結果なのではとも感じる。

そう、彼女だけは幸せになってほしいと心から願ってしまう自分に、呆れるばかりだ。この矛盾した感情が、さらなる複雑さを心に生んでいる。

どんなに願っても、この悲惨な記憶は消えることはないのだろう。それでも、心の片隅には彼女への想いがまだわずかに残っていて、そのことをむしろ誇張するかのように現状を悲しんでしまう。誰にも言えないこの心の叫びは、もはや時が過ぎることだけを頼みに沈むのみだった。何よりも辛いのは、その悲しみが時間と共に深まる一方で、未来に取り残される自分がいることだった。[/member]

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