「借金地獄:明日を祈る家族の奮闘記」

【投稿者:光風(仮名)/20代・男性・兵庫県】

かつて、私は「返済」という言葉に取り憑かれているような日々を過ごしていた。明日が見えない漆黒の夜空に立ち尽くし、抜け出せない底なし沼に足を取られているような気がしていた。借金地獄。それは私たち家族の暮らしを蝕む悪夢以外の何物でもなかった。

事の始まりは、数年前に突然の失業で収入が途絶えたことだ。何とか家計を維持しようと、私はいくつもアルバイトを掛け持ちして働き続けた。しかし、それでも生活は苦しい
[member]ままで、ゆっくりと増え続ける借金がただただ重くのしかかるばかりだった。働けど働けど生活は楽にならず、むしろ苦しさが増すばかりだった。

家計簿を前にして、頭を抱える夜が続いた。息子と娘の学費、家賃、水道光熱費、食費。それぞれが容赦なく私たちを追い詰めてくるのだ。支払いの督促状がポストに溢れ、電話が鳴るたびに心臓が凍りつくのを感じた。「次はこの支払いをどうやって凌ぐか」その考えから逃れることはできず、何度も何度も心が折れそうになった。

妻との会話も徐々に減っていった。顔を合わせるたびに、お互いにこんな現実にしてしまったことへの申し訳なさと負担ばかりが交錯する。何も言えない沈黙が家の中を埋め尽くし、笑顔が消えうせた家族の姿を見て、無力感に襲われることばかりだった。家族を支えたいのに、明日さえ見えないこの状況をどうすることもできないのだ。

一度、子供たちに「旅行に行きたい」とせがまれたことがあった。ごく一般的な家庭なら当たり前にできることなんだろう。だけど、私たちにとってはそれは到底叶わない夢物語。胸を締め付けられ、この状況を打開できない己の無力を痛感せざるを得なかった。子供たちの無邪気な願いに対し、「いつか必ず行こう」としか答えることができない父親であることが、こんなに辛いとは思ってもみなかった。

数え切れないくらい借金の返済プランを紙に書いてみたが、現実はいつも非情だった。次から次に訪れる予期せぬ出来事が、ますます私たち家族を苦しめ、顎が出るほど働いても、借金は減るどころか増えていくばかりだった。この閉塞感から抜け出せる日は果たして訪れるのだろうか。そんな思いが、私の心に重くのしかかっていた。

身近な人にはどうしても頼ることができず、このことだけは知られたくないという自己防衛が働いた。だが、それが結果として自分を追い詰め、そして家族をも見えない形で苦しめていたのかもしれない。どんなに厳しい状況だろうと、家族を守らなければ、と自分を奮い立たせるが、現実はその思いを打ち砕く。

私たちはただ、必死に願うことしかできなかった。この難儀な現状を少しでも打開し、家族みんなで肩を寄せ合い、ほっと一息つける日が訪れてほしいと。しかし、今もなおその日は訪れておらず、明日を信じて奮闘するしか道は残されていない。今日もまた、現実は変わらないままだ。ただただ、この底なしの暗闇から抜け出せる日を待つしかない。[/member]

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