【投稿者:ヒカリ(仮名)/30代・女性・長崎県】
私の人生の中で、あの日ほど絶望を感じた日はありません。長いこと積み重ねてきた努力が、一枚の紙切れによって全て無意味になってしまう瞬間でした。その時の私には、それがどれほどの重みを持つのか、まったく理解できませんでした。
それはある月曜日の朝、いつものようにカフェでモーニングを楽しもうとしていました。ちょっとした贅沢を感じながら、実は内心では財布の軽さに気が気じゃなかったんです。ずっと前から薄々気
[member]づいてはいたけれど、見ないフリをして生きてきました。だって、怖かったんです。財布を開けると、現実という名のパンドラの箱が開いてしまうのではないかと。
結局、その日はカフェラテ一杯で済ませ、お店を出ました。ふと、通りにあるATMの前で立ち止まりました。引き落としが近いことはわかっていましたし、家賃の支払いもある。どうしようもない不安に駆られましたが、一方で、何とかなるだろうと自分に言い聞かせていました。
いざキャッシュカードを機械に差し込み、画面の指示に従っていくと、あっという間に私の薄っぺらくなった所持金が露呈しました。目の前に表示された残高を見た瞬間、それまで積もり積もってきた不安が、一気に現実として私の脳裏に突き刺さったのです。
もう後戻りはできない。この少しの金額で、どうやって今月を乗り切ればよいのだろう。次第に頭の中で不安が膨れ上がり、息苦しさを感じました。その場から動けなくなり、ただただATMの画面を見つめ直した時、私の心は完全に崩壊しました。どうしたらこの状況を切り抜けられるのか、全く見当がつきませんでした。
その後、思わず足を引きずるように帰路につきましたが、次第に自分がどこへ向かっているのかさえわからなくなりました。どうしたら良いのか、すべてがぼやけて見える中で、フラフラと歩き続けました。道行く人々はみんな、何ごともなく平和な一日を過ごしているように見え、それが逆に私の心を苦しめました。
帰宅後、支払わなければならない請求書を一つひとつ手に取り、一枚ずつテーブルに並べました。それらの紙の山に自分の無策さを恨み、涙が止まらなくなったのです。「どうしてこうなったのだろう」、「もっと早くに何か手を打っていれば」、「あの時、無駄にお金を使わなければ」そんな後悔の念ばかりが心を占め、“何もできない自分”への苛立ちが募りました。
この瞬間こそが、私の心から希望という言葉が消えかけた時でした。たかが借金、されど借金。現実に向き合うそのたびに、自分の未熟さと直面せざるを得ず、どこか人生に無力感を感じてしまうのです。本当に、ただただ情けなく、自分を救うこともできない自分が、心底嫌になりました。
夜になり、寝室に入りましたが、どうしても眠ることができませんでした。悩みの波が次から次へと襲い掛かってきて、心の叫びが止まらないのです。私は一体、どこで道を誤ってしまったのでしょう。自分を責める気持ちばかりが膨らみ、それ以外のことを考える余裕も失ってしまいました。
その夜、私はただただ涙を流しながら布団に包まり、明日には何か自分にとって良い変化が訪れるというほど甘く考えることもできず、この体験がいかにして人生の軌道を狂わせたのかを思い続けました。
私は自分の財布の中身に、そして自分自身に裏切られてしまったような気がしてならないのです。この先も、長い借金返済の道のりが待っていると考えると、耐えられないほどの重圧に押し潰されそうで、出口のないトンネルを歩いているかのような気持ちになっています。悲しく、そして何より未来の自分が今以上に輝く日は訪れるのかと、暗闇に溺れかけているのです。[/member]